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2017/1/6 Updated

The NET 網に囚われた男

巨匠キム・ギドクが現代社会の矛盾と闇をあぶり出す社会派ヒューマン・ドラマ

世界三大映画祭を制し、あらゆるタブーを描いてきた韓国の鬼才が、南北分断をテーマに現代社会へ突きつけた渾身作

カンヌ(『アリラン』ある視点部門最優秀作品賞)、ヴェネチア(『うつせみ』監督賞)、ベルリン(『サマリア』監督賞)と、世界三大映画祭を制覇。『嘆きのピエタ』では、第69回ヴェネチア国際映画祭で韓国映画初となる金獅子賞(最高賞)に輝いた、韓国随一の鬼才キム・ギドク。本作は、これまでの20本を超えるギドク映画を総括するとともに、さらなる高みに飛躍を遂げたキム・ギドク監督が、世界に向けて放った社会派ヒューマン・ドラマの傑作であり渾身作である。

南北の分断をテーマに脚本・製作を担当した『プンサンケ』『レッド・ファミリー』を経て、ギドク自らメガホンを取った本作は、一人の漁師の悲運を通し、たとえ政治的体制が違っても、常に犠牲を強いられ切り捨てられていくのは”弱者”であるという現実を、簡潔かつ力強いタッチで浮き彫りにしていく。また、ギドク映画と言えば衝撃的なストーリーラインと暴力性が特長とも言えるが、本作では極端なバイオレンス描写を極力封印。登場人物たちの心情に寄り添って、その心の壁と内面をリアルにキメ細やかに映し出している。

主人公チョルを演じるのは、『ベルリンファイル』などアクション俳優としても評価の高い個性派俳優リュ・スンボム。試練に耐えて強固な意思を貫くチョルを、独特の存在惑と強烈なインパクトで熱演している。そのチョルと心を通わす青年警護官役には、注目のイケメン次世代スター、イ・ウォングン、さらにチョルの帰りを待つ妻役を『メビウス』での一人二役が鮮烈だったイ・ウヌらが演じた。

北朝鮮の漁師ナム・チョルは、いつものようにモーターボートで漁に出るが、魚網がエンジンに絡まりボートが故障。意に反して韓国に流されてしまう。韓国の警察に拘束されたチョルは、身に覚えのないスパイ容疑で、執拗で残忍な尋問を受ける。ひたすら北朝鮮の妻子のもとへ帰りたい一心の彼に、加えて執拗に持ちかけられる韓国への亡命話。彼に待ち受ける運命とは……。

韓国の経済的繁栄の裏に潜むダークサイドに、朝鮮半島の分断が人々にもたらす苦悩と悲哀。そうした<現代社会の矛盾と闇>を直視するギドクの眼差しは、あくまでも鋭く揺るぎない。

【原題】The Net
【監督/脚本/製作】キム・ギドク
【出演】リュ・スンボム、イ・ウォングン、キム・ヨンミン、チェ・グィファ、イ・ウヌ、ソン・ミンソク
【上映時間】112分
【製作年】2016年
【製作国】韓国
【配給】クレストインターナショナル
1月7日(土)
シネマカリテほか全国順次公開
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kodaken
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