阿弥陀堂だより

『阿弥陀堂だより』小さな事件すら起きず人情時代劇のエキストラみたいな演者、トトロも出ず起承転結も喜怒哀楽も無く信州の綺麗な風景が延々続く映画というよりカレンダー。一律作り笑顔の人達が生命保険のＣＭみたいな台詞を言うディストピア映画。

『阿弥陀堂だより』 北林谷栄のおうめバアちゃんの自然に寄り添うような生き方は理想に思えた。生きるのにシンドくなったら、この映画でバアちゃんに会うことにしよう。神々しさすら感じる絶品の演技だった。天使のような小西真奈美にも出会える。この映画、個人的には日本映画の頂点の一つに思う。

フィルムセンターで『阿弥陀堂だより』を再見。こんなに穏やかで美しい映画が他にあろうか。いかに死ぬかはいかに生きるかってことなんだな。公開時に観た時よりもじわじわと沁みた。都会人が憧れる田舎の暮らしがここにある。そんなものは幻だって都会人だって分かってる。これはファンタジーなんだ。

『阿弥陀堂だより』面白いとか面白くないとかいう話ではない感じのテーマ。生命って死も含めて尊いなあと感じられる。ある程度の年齢以上だと深く共感できるのかも。田舎の、つくられていない雰囲気が非常に自然。おばあちゃんとか演技かわからないくらい素。